「ルポ 貧困大国アメリカ」の話から
「そういえばシッコが安くで上映されるよ」と誘われて
伊丹の小さなホールに観にいった。
小さな体育館のような会場に椅子が並べられただけだったけど、
一番前の列だったので、とても観やすかった。
すぐ隣で肘が触れ合うくらいにくっついて見ていた見知らぬおばさま。
「ええ??」「ひどっ」「あらまあ」「へえ~」「すごいわね」と時々呟く、
そのおばさまのため息と言葉の通り。
アメリカのおぞましい営利主義には寒気がし、
フランスやイギリス、カナダ、キューバの医療制度の話に希望を持つ。
「では日本はどうなんだ。これからどうなるんだ?」と考えてしまう。
上映終了後に多くの人が熱心にアンケートに感想を書いていた。
前日のニュースではオバマ大統領が「恥知らずだ」と怒っていた。
巨額の公的資金で救済を受けたはずの金融機関が役員らが
総額で1兆7000億円ほどのボーナスをもらっていた。
って怒るより哀しくなった。
自分たちの懐を膨らますために仕掛けたことで
世界中に影響を与えているその張本人たちは、
どのような神経でその金をもらっていたんだろう。
「ルポ 貧困大国アメリカ」でも「シッコ」でも
なんともいえない嫌悪感がじめっと残る。
アメリカに、とか金持ちに、とかじゃなくて(でもあるけれど)
ぞっとする。寒いぼがたつ。腹が立つ。落胆する。
アメリカの話は異次元の話でも遠い国の話でも人ごとでもないことが
これまた、かなしい。
人間の欲望って怖い。
他人に対しての想像力を失った人間って怖い。