新年明けましておめでとうございます。
朝、障子を開けたら陽の光りの中で雪がちらついていた。
初日の出は見えたのだろうかと大阪平野の向こうを見ると
大きな雲と青空が半分ずつ。
元旦から四日までのバイト後半は出勤時間がさらに早くなる。
半分寝ぼけながら、御屠蘇がわりに白ワインで乾杯し、
お節といつもの島根風雑煮をいただき、家を出る。
雪はもうやんでいた。
出勤途中、人もまばらな福島天満宮で一人で初詣。
正月早々、過去最悪な内容のおみくじをひいてしまい
逆手で境内にくくりつけて、とりあえず忘れる。
寒い、寒い。
ホテルの広い更衣室の一角には畳みがひかれ、姿見が何本も立つ。
神戸吉兆、なだ万、竹葉亭、つる家・・・どの店も今日からお正月用の着物だ。
帯も帯あげもお正月仕様。
私はだいぶと汗くさくなってきた半袖ワンピースを着る。
ちょっと寒いし・・・せめて替えをもう一着くれ。
夜の営業まではお店ではなく、ホテルの大宴会場へと
天麩羅出張に借り出された。ホテル内の各店が全て宴会場に揃っていた。
鏡開きに餅つき、獅子舞となんともお正月らしい会場。
私はひたすら天丼をお客さまに渡す。
そこに前職で取材をさせていただいた方とお会いした。
と言っても向こうは全然気がついていないけど。
まだ若いけれど再生医療の分野で注目されている方だった。
足の筋肉からとりだした細胞で作ったシートが、
シャーレの中で脈を打った映像を見せていただいたときの驚きが
ついこの間のように甦ってきた。
「万能細胞、再生医療とか言っても
不老不死や人間の寿命を延すことを目的にしているわけじゃない。
ただ、今をよりよく生きるために、そう思っています」
「限りある命だからこそ、今をよりよく生きる」
撮影の合間、曇った空の下に立つ先生のその言葉を思い出しながら、
「お待たせいたしました」と先生に揚げたての天丼を渡す。
夜の営業は想像通り忙しかったけど、
想像程度だったのでまあ無事に終了。
早出の残業で、元旦から10時間も働いてしまった。
あと三日・・・。