強い日差しが校舎に反射し、爽やかな風が通りぬける。
土曜日のキャンパス内はほっこり静かで昼寝をする学生も。
そんな中、杖をついたおじいさんや、リュックを背負ったおばあさん、
壮年の夫婦や中年男女が続々と校門を抜けてくる。
職場の研究所では大学教員や院生向けの研究会のほかに、
年に三度、市民公開講座を開催している。
春は作家を招いての歴史講演会。
夏は連続三回の寺子屋勉強会。
秋は研究者を招いての学術講演会。
今日は「東アジア史の中の琉球」をテーマにした春の講演会だった。
「会津藩主と武士道」をテーマにした昨春の講演会は、
テーマもさることながら講演者が直木賞作家だったこともあって大盛況。
今年はテーマも難しく、講演者も一般の方には遠い存在の方、
申込者も出席者も少なくなると予想していた。
それでもふたを開けてみれば昨年並みの大盛況。
「興味のあるテーマだったので」と初参加者も目立った。
私の父親と同じ年齢の講演者も沖縄から来た甲斐があった、と思う。
250席ある大講堂にパイプ椅子も並べる。
「大学の授業は後ろから席が埋まるけど、市民講座は前から埋まるね」
参加した教授たちも笑っている。
常連さんたちは受付の私たちに飴をくれたり、川柳をくれたり・・・。
約二時間、熱心にメモをとったり、顔を上げている参加者。
難しいだの、話が下手だの、暑いだの、寒いだの文句を言われる講演会。
有り難いと、勉強ができて嬉しいと、大学生の孫と来たと喜ばれる講演会。
最年少の18歳の少年が一旦会場に入ったあと、受付にやってきた。
「これってどういう人たち向けの講演会なんですか?」と。
あまりに高齢者が多くて不安になったらしい。
席が全部埋まるころには二十代、三十代、四十代とそれなりに揃う。
それでも75歳以上の高齢参加者の多いこと。
「もう目も霞むし耳も遠いねん」
「ここにくるのに足痛いし、座ってんのつらいねん」
「なんや小難しそうなテーマやなあ」
そう言って苦笑いしながら受付で資料を受け取る高齢参加者。
「一生勉強やな。若いころ戦争や貧乏で勉強でけへんかったし」
「ありがとう、今日もいろいろ教えてもろたわ」
「新しいこと知ることが嬉しいねん」
そう言って笑顔で友だちの分の資料も持って帰る高齢参加者。
みなさんお元気で夏にも秋にもお会いしたいです。