大阪センチュリー交響楽団の専任指揮者である聖響氏。
昨年のブラームスチクルスをのぞいては、
2003年「新世紀浪漫派」、2004年「ウイーン幻想派」、
2005年「ウイーン古典派」、2006年は生誕250年にちなんで
「モーツアルト〜天才が遺した音楽」。
テーマを設けての年間4回のシリーズ公演を大阪センチュリーと組んでいる。
今年の「音楽至上主義」ではフランス、ドイツそしてアメリカへと
音楽で旅する趣向だ(と思う)。
第1回は「フランス〜パリ発、彩りの物語」。
4月19日土曜日、いつものシンフォニーホール。
目当ては初めて生のオーケストラで聞く「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
ピアノ演奏ではよく関西でもあるんだけれど。
でもはまったのはベルリオーズ「幻想交響曲」だった。
聖響さんの振りは腰もすっかり治ったようで、小気味よく、大きく。
第4楽章からの「ぱっぱあ、らっぱ〜」のところでは
横のおじさまや前のおばさまが
前の頭や足を揺らしてリズムを一緒にとっている。
2階のR席からは客席全体が見渡せる。
このシリーズ公演では珍しく空席がいくつもあったけれど、
後半のベルリオーズの客席はギュッと集中していた感じ。
静かな興奮状態が快感。
「幻想交響曲」はその名のとおり「幻想」なんだけど、
ロマンチックな幻想というよりは狂気的な幻想?
大失恋して狂気に陥った芸術家が阿片を飲んで自殺を図って幻想をみる・・・
そんなストーリーを持っているらしい。
繊細で柔らかい第3までとうってかわって、
第4、第5楽章は「これでもか」って感じ。
「どうせ、俺なんて」「もう、どうにでもなれっ」「俺の何が悪いねん」
卑下して開き直って逆切れして、あ〜でもスッキリ、
もしかして、なんか希望の光が見えたかも。・・・みたいな。
大活躍のティンパニ。4台ってすごいな・・・。
ティンパニを上から見ることができて楽しかった。
実際にベルリオーズがパリに公演にきたシェイクスピア女優に失恋して
描き上げてた曲。で、この曲の再演に聴きにきた女優と再会して結婚できた
ということだから、めでたし、めでたしなんだけれど。
いろいろとめでたくないこともあって複雑な思いでホールをあとにする。
私は前にも書いたけど、コンサートマスターの川崎さんが好き。
でも今ではソロ活動も多くなり、「首席客演コンサートマスター」に
なったらしく今回もいらっしゃらなかった。
ソロでも一度聴いたことがある首席フルート奏者の長山さんも好き。
創設時からいらっしゃり固定ファンも多かったと思う。
いつもの位置には少し年配の落ちついた雰囲気の長山さんではなく、
若くて美人で白くて細い金髪の女性が座っていた。
PAC:兵庫芸術文化センター管弦楽団からの移籍されたニコリンヌさん。
今日は特別?と思ったら長山さんが退団になり
彼女が首席奏者として入団されたと知り、ちょっとショック。
PACの卒業生たちはいろんな所で活躍されるんだろうが、
いきなり首席奏者か・・・。
でもニコリンヌさん、楽屋口で間近でお会いしても
ほんとに若くて美しくて静かな華があって・・・
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」の出だしのソロは
透明感があってこれまた美しい音でした。
もう一人、私はティンパニさんが好き。
安永さんという若くて柔らかい感じの男前。
几帳面な感じな打ち方とクリアな音が好き。
私は音楽に詳しくないからよくわからないけど、
それは聖響さんが求めているからかもしれない。
今回は絶好の位置でティンパニを堪能できて満足。
その安永さんが、終了後、会場内の拍手がやむと、
いつもは片づけに一番時間がかかっているのに、
足ばやに、ほんと小走りでステージから消えていった。
もしかして・・・とは思ったけれど、
ロビーはいつも以上にごった返していた。
多くの団員が署名を呼びかけている。
その団員たちを囲むように観客たちが署名に列をなし、
団員に応援の声をかけている。
さらにそんな光景をうつすテレビカメラ。
「自立しろ」、といっても他の楽団とは成り立ちが違う。
橋下さんになる前から在阪オケの統合は議論されていたし、
実際、芸文オケのように佐渡さん自ら汗を流しながら、
努力と工夫と地域密着で「成功」しているオケもある。
助成の金額も運営団体に7億円というのは大きい。
いろいろと思うところはあるけれど、
とりあえず安永さんのところへ行って署名する。
もっと必要なものがたくさんあって、本当に必要かといえばそうは言えないし、
でも「無駄」なものかとも私には思えないし。音楽だけじゃないけれど、
プロ活動できる場が少なすぎ、まして地方はなおさらで・・・。
職場では司書仲間が勤めているということで
「児童文学館」存続を求める署名がまわっている。
どうなるのかな。
******************************************************
聖響/音楽至上主義 第1回
フランス〜パリ発、色彩の物語〜
♪ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
♪ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
:マ・メール・ロワ
♪ベルリオーズ:幻想交響曲op.14
指揮:金聖響
管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
ザ・シンフォニーホール
2008.04.19 sat. 15:00〜