大学の仕事は明日は午後から。
秋からはじまった入試日程も明日が最後。
昨年の3月の入試日の午後出勤には
確かコートは着ていかなかったはず。
今日は午後から入試課のお手伝い。
「教室寒いからコート着て行きね」
すでに春休みに入っている人気のない教室は
外に負けずとしんしんと冷えていた。
「D方式 6桁の数字」が書かれたグリーンの紙。
大教室の机に一枚一枚貼っていく。
列の最初と最後の数字の読み合わせ。
教室ってよく声が響く。懐かしい感覚。
何がA方式でD方式が何なのかよくわからないが、
とりあえずこれで最後の日程。
初めて入った5階の教室からは小学校の校庭がよく見えた。
入試案内所の白いテントが風に揺れる横で
謝恩会の告知看板、企業マッチングセミナーの案内が並ぶ。
蔵書点検中の図書館はしばらく休館。
「ぴ」「ぴ」「ぴ」とバーコードチェッカーの音だけが響く。
教授たちは卒業判定の会議にこもり、
研究所のポストドクターさんは専任講師の就職が決まった。
課長さんは年度末の処理と次年度の打ち合わせに追われ、
三月末で定年退職される上長さんは「仕事終わらへん・・・」と呟く。
私たちも時間内でできるだけ黙々とサクサクと。
休み時間ごとの学生たちの喧騒もなく、
チャイムが鳴らなくなった静かな場所で、
一日があっという間に過ぎていく。
校舎を出るときの夕陽の場所が日に日に高くなってきた。