大好きな指揮者、金聖響さんは私と同じ年。
聖響さんは15歳の時に指揮者を志したという。
小澤征爾さんの指揮をテレビで見て
「僕は指揮者になるんやー」と決心したそうだ。
その時に小澤さんが振っていたのがマーラーの「復活」。
「あまりにも強烈だった」という最終楽章のコーダ。
大フィルとの練習をしながら、その15歳の時の記憶が甦ったそうだ。
金聖響さんとと大フィルの競演もはじめてなら
金聖響さんが振るマーラーもはじめて聴く。
第一楽章がとても緊張して長く感じた。
ただでさえ抑えに抑えた弦に客席が息を潜めていたその時に
「ぷぷぷぷ ぷぷぷぷ *****」
しかもなかなか止まらない。
本人も焦っただろうが周りも焦ったよ・・・。
止まったと思ったら今度は
「ジ、ジ、ジー」「カチャカチャ」
不安になった人たちが鞄やポケットの携帯をまさぐる。
二階席の切れた集中がステージに伝わりませんように、と
思わず聖響さんの背中に祈る。
いろんな意味での緊張の一楽章が終わったあと、客席も呼吸音と咳払い。
私も力がようや抜ける。
聖響さんも指揮台の横におかれた椅子に腰掛ける。
聖響さんの表情は見えないけれど、
短い言葉を交わしていた正面の楽員さんの笑顔になんだかホッとした。
指揮台を降りて椅子にすわった指揮者の背中をはじめて見た。
マーラーが第1楽章の後に「少なくとも5分間以上の休みを置くこと」
という指示を入れているそうだ。
ほんじゃやりますか、って感じてで周りと笑顔を交わして腰をあげた。
そっからは最終楽章までノンストップ。
合唱ははじめからステージに上がっていたし、
独奏者も自然に三楽章には入っていて
気がつけばメゾソプラノの独唱が静かに響いていた。
楽章の間の取り方も金聖響さんの好きなところかもしれない。
大フィルで大植さん指揮のマーラーは一度だけ聴いたことはあるけれど、
疲れ果てていた頃に聴いたので、音の中で気持ち良く寝ていた。
もったいない・・・。
大フィル、というか大きな交響楽団で聴くのはすごく久しぶり。
古典やバロックが好きなせいもあって
いつもは50人程度の二管編成を聴くことが多い。
この日は倍近く?何人いたのかな?
四管以上の大編成というだけでいつもと違う音の響きに圧倒された。
コンバスが8台も、ホルンは最終楽章では2~3人さらに増えたし。
コンバスの音がなんだか耳から離れない。
やっぱり最終楽章、ほんと毛穴開いた。
合唱、特に男性合唱が良くて、ラスト10分くらい膝から腿がサワサワした。
この感覚も久しぶり。
金聖響さんで、大フィルで、マーラーで。
ものすごく行きたかったけれど、
11月に金聖響×センチュリーの好きな組み合わせで券を取っていた。
そして大フィルはベートーヴェン・チクルスの「7番・8番」を。
もう完売しているから当日券とれなければ「9番」を。
そんなこんなで、これは我慢我慢とあきらめていた。
幸運にも聴くことができた。嬉しかった。
チケットを分けていただき本当にありがとうございました。
友人ともども堪能させていただきました。
この日、会場で職場の同僚にばったり。
旦那さんが海外出張中の彼女。
日曜日に誕生日を迎えるということで自分のお祝いにふらっと聴きにきたという。
帰りに私の友人ともども三人で乾杯!
酒豪の同僚と一滴も飲めない友人と、
なんとも不思議ないろんな展開に話が広がりました。
濃くて幸せな土曜の夜でした。
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10月27日(土) 19:00~ 梅田芸術劇場メインホール
指揮/金聖響 管弦楽/大阪フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ/林 正子 メゾ・ソプラノ/加納 悦子
合唱指揮/三浦 宣明
合唱/大阪フィルハーモニー合唱団
グスタフ・マーラー
♪交響曲第2番ハ短調 「復活」