
昨夜は24時をまわって帰宅した。
真っ暗なリビングに電気をつけると、
先に寝た父からの伝言が食卓にあった。
「庭の月下美人が咲きました」
一晩だけ花を咲かすといわれる月下美人。
夕方に出ていた細い月はもうとっくに山に落ち、
暗い夜の庭にぼんやりと白い鋭角な花が二つ。
甘ったるい匂いが庭に広がっていた。
昨夜開いた花はしぼみ、今夜、新しくまた二つ開いた。
21時頃から開き出したようだ。
阪神対巨人戦の行方を気にしつつも懐中電灯片手に庭に出る父。
父の実況報告を聞きつつ頃合いをみて庭にでる母。
二人が寝静まってから庭に出る私。
一度は布団に入ったはずの母がまた庭におりてきた。
もう一つ開いているようだ。
庭に出たら三つ目がもうすっかり開いていた。
花びらが開く時には音がするという。
いちど聞いてみたかったんだけどな。
昼には感じなかった甘い匂いとさっき降った雨の匂い。
今夜はいい香りだな、としばらく庭で蚊に刺される。
いま目の前で真っ白にぴーんと咲いているこの花も
夜が明ける前には大きなしわしわの蕾になる。
花びらは天ぷらにして食べると美味らしい。