一番長い時間足を止めていたのは「南天雄鶏図」。
何度も足を戻したのは「池辺群虫図」。
雪の白、羽の白。
若冲展の最終日。
ずっと見たかった「動植綵絵」だったけれど
入るまでにも入ってからも待つ気力と体力がここ最近なかった。
釈迦三尊像との百二十年ぶりの再会。
しかも私が生きているうちにもう宮内庁から里帰りする機会はもうないかも。
行かないつもりで図録を見せてもらたら、
どうにもこうにもやっぱりで生でみたい。
でも人を観にいくような状態はつらいな・・・。
公式には10時の開場だが9時にはあけているらしい。
日曜日の最終日、もっと早くあくかもしれない。
みるなら入場制限前の最初のグループで入ろう・・・。
早起きしたかいあって、じっくりと堪能できた。
狭い会場にほどよい人数。
何よりも第二会場に入った瞬間。
正面の「釈迦三尊像」三幅を囲む「動植綵絵」左右の十五幅を見渡せた。
なんか心がじわっとした。
後ろから人がまだこない。
会場の中の人が20人もいない。
ほんの1分ほど。30秒くらいだったかも。
部屋の入り口中央にたって、
この空間に入れたことをほんとにありがたく思った。
プライスコレクションの時には
朱、墨、蒼碧の色の美しさとデザインに驚き、
「珍しさ」と「巧さ」だけに満足した感じ。
へえ~、すごい~と楽しくみることができた。
今日はなんか「凄味」に圧倒された。
小さな虫や貝、朽ちかけた葉。
命あるものへの愛情というか、
生への敬意というか執着というか。
なんだか言葉では表現できないけれど。
空も水も土もかかずにそれぞれの世界で生きるものを描いている。
色の洪水だったけど心に残るのは白。
枝から弾かれる雪粉、揺れる白い羽に「瞬間」が感じられて
ちょっと胸が苦しくなった。