恩田睦さんの本を読むと無性に書きたくなる。
「黒と茶の幻想」講談社
先々週の週末、Y島が舞台であるこの本を読んでいた。
それぞれの想いを胸にJ杉を目指して歩く4人。
恩田さんは最近読む作家さんの中では一番活字から映像と感覚が浮かぶひと。
トロッコ道、深くて静かで雨の匂い。
前を歩く彼の背中を見つめながら歩く彼女。
後ろを歩く彼の息づかいを感じながら歩く彼女。
言葉にならない感情も感傷も、ひたすら森を山を歩く行為に汗とともに流れていく。
メールの着信音。
「7月に屋久島に行こうよ」
六月末に会社を辞めることを伝えていた友人から。
本の中で屋久島の森を歩いていた私は
「行こう!」と即決メール。
会社を辞めたらリセット旅行をしようと考えていた。
すでに「一人で伊豆に一週間」と計画をすすめていた。
「縁とタイミングと直感」でものごとを決める私は
一瞬にして伊豆から屋久島に予定を変更することにした。
先週末、旅行代理店と好日山荘で半日を過ごす。
一緒に箱根旧街道を歩き、西安で楊貴妃の入った風呂を覗き、
ピラミッドの中で驚嘆し、スフィンクスに登って砂漠を見渡した彼女たちと、
今度は太古の森の中を歩く。
まさか1200メートルの山の上に縄文杉があるとは思ってもおらず、
トレッキングなのか登山なのか、歩ききることができるのか・・・と
旅行会社よりも好日山荘のスタッフから情報をいろいろともらいながら
不安と期待いっぱいに一日目・縄文杉、二日目に白谷雲水峡を歩くことに。
ウミガメの産卵のシーズンなので、そちらにも足をのばす。
友人はすでにバス通勤から歩き通勤に。
私はたかが3日のイベントで足に水ぶくれができて悪化して指が腫れる始末。
「旅会議しよう!」
今日はそんなメールのやりとりをする。
旅の前が一番楽しい、そしてまた何年もして旅の思い出話しをできるのがまた楽しい。
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恩田さんの本はたくさん出ているけれど、講談社から出ている作品と
「常野物語」のシリーズが特に好きだ。
「麦の海に沈む果実」「三月は深き紅の渕を」「光の帝国」「ネバーランド」
「球形の季節」「六番目の小夜子」