泊まりがけ忘年会の帰り、
寝不足気味のやや重い体ながら、あまりの良い天気に、
ちょっと寄り道したくなった。
スコーンと青空で淀川が銀色に光っていた。
今年の締めくくりになんとなくほっこりする映画が観たかった。
ということで十三で降りる。
年末の昼過ぎの小さな映画館は七割ぐらいの入り。
しかも、かなり年齢層が高い。多分、私には過去最高。
年明けに友だちを誘って観ようかと思っていた「牛の鈴音」。
美しい韓国の村の風景にほっこり、というわけにもいかず、
さびしくもありせつなくもあり、ちょっと鼻水も出しながら
でも気持ちの良いため息をついて映画館を出た。
おじいちゃんがひきずる足があまりに細くて、頑固で無口で。
村の人に牛の話をする時のくしゃくしゃの得意げな笑顔。
「私の青春よ、どこ行った~」と歌い、「牛ばっかりと」愚痴とため息ばかりのおばあちゃん。
体調が悪いおじいちゃんをじっと見つめる不安げな顔。
たくさんの車が走る街の道路を老牛にひかれて病院へ。
牛を外で待たせて、写真館で二人でお葬式用の写真を撮る。
夫婦ってすごいなあ。強いなあ。いいなあ。
今年はちょこちょこ映画を観たけれど、最後にこの作品を観て良かったな。
この十三の映画館で見た「チベットチベット」と「牛の鈴音」が今年は良かったかな。
映画というかどちらもドキュメンタリーだけど。
いつも映画に誘ってくれる友だちはウユニ塩湖に行きたいと言ってたから
今度「パチャママの贈りもの」を誘おう。
で、「牛の鈴音」の割引券がついていたからあげよう。