爽やかな朝だった。
カラリと晴れて空気がほんの少しひんやり。
家の前の坂道の上に近所の子どもが二人。
そわそわと坂の下を眺めている。
坂を下りれば山の上へ通う小学生の通学路だ。
気持ちいい朝だなあ~とのんきに坂道をおりてると、
歓声のような叫び声とともに、坂の上の二人が駆け下りてきた。
ほぼ同時に目の前を歩いていた集団登校の列から何人か、
やっぱり黄色い声を上げて坂を上ってきた。
なんだなんだと、挟まれそうになった私は小学生たちに道をあける。
どうやら坂の上の姉妹は今日引っ越すようだ。
昨日にでも転校の挨拶を終えて「さよなら」した友だちと
最後のバイバイを何度も何度も交わしている。
先頭を歩く上級生たちが抜けたことで、
小さな子たちがちょっと戸惑っている。
それをみて駆け上ってきた女の子たちは列に戻っていった。
転校していていく女の子が集団登校の列に手を振っている。
長く続く坂道を上る集団登校の列の中、何度も振り返る女の子。
こないだの運動会を待ってからの転校だったのかな。
そんなことを思いながら小学生の列と離れバス停へ向かう。
今日の大阪平野はぼんやりと、でも明るく光っていた。
平野の向こう岸にある生駒山がいつもよりもずっと遠かった。
今から仕事へ向かう場所がこの光りの中にあるのかと思うと、
ふと、不思議な気がした。