本を買うときは、「この本を買おう」というよりは
その日の気分で選ぶことが多かった。
好きな本屋さんをぷらぷら歩きながら、
タイトル、装丁、帯にある一言にひかれて
手に取ったものを家に持ち帰る。
最近はあまり本を買わなくなったけれど
買うときは事前に決めていることが増えた。
書評を読んで欲がわいてくることが多い。
「これ」と思って図書館のHPでチェックすると
何十人と予約待ち。新刊は出る前に予約しないと無理かも。
今年中に読めるのか??と予約をする気力を失ってしまう。
職場の教授が昨年に出版した本が4刷になった。
学術書としてはとても珍しいよう。
書評が出てからとんとんと売れ、すぐに増刷となった。
テーマが面白かったこともあるようだけど、
書評自体が興味をそそられるものだったから
私も読みたいと思った。
職場には学内用に山のように積まれていたけど、
気がつけばほうぼうへ旅立ってしまった。
日曜日、朝刊を昼すぎによんでると、
すぐに本屋さんに行きたくなった書評があった。
山田詠美「無銭優雅」。
敬称略でごめんなさい。
引用された山田詠美の文章もぎゅーっとときたけど、
盛田隆二の一つの作品のような書評にむっちゃくちゃそそられた。
「夜の果てまで」(湾岸ラプソディ)を読んだ時の印象のままの
ちょっと粘質系だけど、なんだろな、うまいなあ・・・。
山田詠美は主人公が学生の作品が好きだ。
「放課後の音符」「風葬の教室」
かろうじて10代の頃、どんぴしゃ私のストライクゾーンに入ってきた。
なんか「痛い」けど。
綿谷りさと金原ひとみが芥川賞受賞時に影響をうけた作品として
どちらも「放課後の音符」を挙げていた。
この作品を読んで「書きたくなった」人は私のまわりにもいる。
という私もこの作品を読んで感情のままにうお~っと書いて、で、書けなった。
山田詠美の文学賞の選考委員としてのコメントを文芸誌で読むのも好きだった。
辛辣で容赦なくて核心をついていて受賞作品を読むよりも興味深い。
ほんまに「辛辣」って言葉が過去最高にあてはまった。
これまた厳しい言葉を残してその選考委員はもうおりてしまったけど。
芥川賞の委員は今もやってるのかな?
今回の「無銭優雅」は40代の男女を描いた作品らしい。
図書館の予約はこれまた今年中にはまわってきそうにない数だった。
でも無性に読みたい本に出会えてちょっとうれしい。
山田詠美作品の中には読まず嫌いの分野もある。
「風味絶佳」で数年?それ以上ぶりに手にとった。
好きな作家は?と聞かれて山田詠美の名前は出てこない。
日曜日の書評の中に抜粋されていたほんの数行にぞわっときた。
久しぶりの感覚・・・・。
私の中では好きな作家というよりも、
もう少し違う言葉で存在している作家さんかもしれない。