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2006年 09月 27日
水がずいぶんと冷たく感じる。
墨汁を使うのをやめて、久しぶりに墨を磨る。
生ぬるい水で墨を磨るのはあまり好きではない。
秋から冬へ、水は冷たければ冷たい方が好き。
冷たい墨の塊をまだぬくもらない手で
ひんやり静かな硯にあてる。
水がやわらかくなり、
墨がかおりだす。
硬くさらさらした感覚が
とろりとなる瞬間が好き。
先生の朱い墨を磨ってみたかった。
せがんでみたけど一度も磨らせてはもらえなかった。
自分の母親よりは年上だったと思う先生は、
とてもきれいな白い肌をしていて、
あまり視力のない右目は光に透けていた。
先生は脱腸で時折ひどく顔を歪めた。
そんなときはみんなすこし緊張する。
先生は右手に筆を握ったまま、
左手で自分の腸をあるべき場所に収める。
先生の顔が緩むとみんなほっとした。
水が冷たくなると墨を磨りたくなる。
墨のにおいをかぐと、
先生のもちっとした肌を思い出し、
先生の脱腸が心配になる。
by saqqara0902
| 2006-09-27 18:10
| 遠い記憶
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