私が好きな顔。
興福寺の阿修羅像。特に右斜めからの顔。
そしてツタンカーメン王。特にカノポス櫃の蓋の顔。
少年のようで大人びてもいて
男性でもなく女性でもない両性具有的な。
どちらも恥ずかし気もなくつい「美しい」と口ばしってしまう
私が大好きな見惚れる顔。
ということで、大阪南港へツタンカーメンに会いに行く。
冷たい強風にあおられながら1時間以上待つ。
阿修羅像と違って滅多には会えないから
それくらいは大丈夫。でも寒かった・・・。
今回の目玉の一つは黄金のカノポス。
カノポスとはミイラにする時に取り出した内臓を入れる容器のこと。
他の王族たちのカノポスも展示されていたけど
ツタンカーメン王のカノポスは黄金に輝き、
素晴らしい細工が施されて圧倒的な存在感だった。
黄金のカノポスには腐敗処理をした肝臓が入っていたという。
でもこのカノポスの顔はちょっとボテッとしている。
ツタンカーメン王の顔を模しておらず、
別の王のために用意されたものを使ったとされている。
私が会いたかった顔ではない。
ツタンカーメン王の肖像の中で最も美しいという宣伝文句付きで
来日した80センチ弱の半身像も。この凛々しい少年像も好き。
その半身像が発掘時に墓から運び出されているモノクロ写真も展示されていた。
この写真は初めてみた。表情のある横顔が映されていて
なんだかツタンカーメン王が輿に乗って現代人に運ばれているような
不思議な写真だった。
私と友人が楽しみにしていた乳白色のアラバスターで作られた
カノポスは来ていなかった。
カノポス櫃の蓋の顔。4面ある美しいツタンカーメンの顔。
「ツタンカーメンのカノポスが来る」
ということでちょっと勘違いをしていた。
約20年ぶりの再会を楽しみにしていたけれど・・・。
あの白い静かな美少年にもう一度会いたかった。
エジプト考古学博物館で釘づけになった。
9歳で即位、19歳で亡くなった少年王の肖像を模したと説明を受けた。
「ツタンカーメン王、なんて美しいんや~」と見惚れた。
「内臓を入れていた容器です」と説明を受けて一瞬ひいた。
でも惚れた。
ちょっと残念ではあったけれど20年前のエジプト考古学博物館で、
今日も隣にいる友人と一緒に、息を呑んだり、ため息漏らして見つめた
懐かしいものたちと再会できたのはとても嬉しかった。
はじめてのものもたくさんあった。
エジプトに行って以来、フンコロガシとはもう呼べないスカラベ。
翼をつけたスカラベの胸飾りが印象に残った。
ツタンカーメン王を包む布に一緒にくるまれていた金の剣。
化粧箱やチェスト、ゲーム盤・・・綺麗、楽しい、素晴らしい!
ツタンカーメン王の時代はエジプト新王国時代。
日本では縄文時代。
時間の流れがわからなくなるような遺品・・・。
ああ、また生きているうちにエジプトに行きたい。
20年前にエジプトに行けたことに感謝したい。