昼すぎに郵便物を受け取りに研究所を出ると
小雨が降り出していた。
本降りになる前に、図書館へ本を返そうとまた外に出ると
大きなぼたん雪が、ぼたぼた、ばらばらと落ちてきた。
授業も試験も終わった静かなキャンパス内は
帰る頃には足跡もつかずに白くなっていた。
今夜は大学仕事帰りに梅田で夜9時までバイトの予定だった。
父親から我が家の周りの「積雪情報」がメールで入っている。
上新庄の駅に出るまでの道でけっこうジュルジュルな雪道だったので
「帰れなくなるぞ」という父親の言葉もあながち嘘でないはず。
バイト先に電話すると、名乗るなり「雪やろ。しゃあないなあ、ええよ~休んで」とのこと。
お言葉に甘えてバスが動いているうちに帰らせてもらうことにする。
すでに、阪急バスの運行情報では、近くの路線が運休しだしていた。
携帯で確認した運行情報では、我が家への路線は動いていたはずなのに。
改札を出るなり、携帯片手な人たちの群れに不安を覚えながら
バスターミナルへ降りると、おじちゃんが大きな手で×を作っている。
積雪で運休している路線もあったが、私の路線はそうではないようだ。
「乗り捨てた車が道をふさいでいる」から運休。「いつ復旧するかわからん」とのこと。
とりあえず行けるとこまで「タクシーで」の人たちの列の後ろにつくのは諦め、
「本屋で時間をつぶしてレッカー移動作業を待つか」と思いつつ、
歩きだす人たちの波に勇気づけられ?道が凍る前に歩くことにする。
「動いても、一番上まで行くかわからない」というこれまでの教訓もあるので。
歩くのはいいけれど、雪が雨にかわり傘をささなくてはいけないのがつらい。
ジュルジュルすべりながら歩きだすとすぐに体はあったかくなった。
雨が雪になる境い目はパンやの角からの坂道からだ。
今夜もここから小雨が小雪になり、ジュルジュル雪がサクサク雪になった。
ダウンの下は軽く汗ばんで。あと、一息・・・。
と思ったら、ジャリジャリとタイヤに鎖をつけてバスが私を追い越していった。
バスの終点のあたりは、さらに景色が変わる。
轍のあとが少しついているけれど、ほぼ真っ白だ。
かなりの車が乗り捨てられている。
家へ向かう最後の坂道でまた雪が変わる。
柔らかかった雪がガリガリして、ツルツルしだした。
明日の朝、バスは動いているだろうけど、
バス停まで行くのに時間がかかりそうだな。